研究概要 |
本研究では.次世代ヘッドマウントディスプレイとして近年注目されている網膜投影型ヘッドマウントディスプレイとAR(Augmented Reality)技術をを応用し.術前シミュレーション結果を術部に直接的にオーバーレイすることで.術部と術前シミュレーション像を同時に重ねて見ながら安心して手術が行える歯科インプラント手術ナビゲーションシステムの構築を目的とした.平成21年度に,基本システムの構築と画像合成手順の提案,および検証実験を行い,その有効性を確認した.平成22年度は,実環境で利用するために解決すべき課題に取り組んだ.これまで使用してきた紙製の位置姿勢計測用マーカを,Rapid Prototyping装置の2色刷り機能を利用して紫外線硬化型の樹脂で製作することによりシステム全体の系統誤差を低減した.また1面だけでなく3面を立体的に配置することにより,計測範囲の拡張,隠れの問題を解決し,部分的無歯顎模型に取り付け,歯科用マネキン上で検証を行った.さらに,通常,白と黒の組み合わせで製作するマーカを灰色と黒の組み合わせにすることでコントラスト比を改善し.無影灯による頭部と患部の明度差が存在する環境における安定したマーカのトラッキングを実現した.最後に,画像合成に必要となる透視投影行列の算出法を古典的なDLT(Directr Linear Transformation)法からLMedS(Least Median Square)法に拡張することにより.サンプリング精度の低い例外値が含まれていた場合にこれらを効率的に除外し.ロバスト性の高い画像合成を実現した.
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