研究概要 |
本研究の目的は、顎骨に埋入された口腔内のインプラントの位置関係を、オプティカルトラッカーにて非接触で光計測するシステムの開発である。本システムにより、印象採得、作業用模型製作を行わずに計測が行えるため、従来のインプラント印象法で生じる、印象材料の弾性ひずみ、石膏の硬化膨張などを原因とする「ひずみ」を回避できると考える。 オプティカルトラッカー(Micron Tracker2 Sx60,Claron Technology)は、両眼カメラにより専用マーカーの位置姿勢を計測することができる。本年度は、はじめにインプラント位置姿勢の計測ジグの製作を行った。計測ジグは、CAD/CAMによりチタンブロックを切削加工して製作し、専用マーカーを塗装した。 インプラントアナログを埋入した計測用石膏模型を製作し、本システムを用いて、インプラント位置関係を計測した。計測結果をもとに、本研究独自に開発したソフトウェアを用いて、仮想空間上にインプラント位置関係を再現した。このソフトウェアを使用することで、計測結果からインプラント体の相対的位置関係が算出できる。さらに、インプラント上部構造のフレームワークをCAD/CAMにて製作し、精度検証を行った。 これらの成果を、国内の学会にて発表した。本年度の研究の結果、本システムを用いることで、作業用模型を製作せずに、すべてデジタルデータで上部構造のフレームワークを製作することが可能となった。また、その精度は臨床上許容できるものであることを確認した。 今後は、光学印象精度を高め、臨床応用していくことを試みる予定である。
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