研究概要 |
間葉系幹細胞(MCS)は既に骨再生への応用が始められているが,その分化メカニズムはいまだ明らかになっていない。本研究ではMSCの分化メカニズムを解析するとともに,その臨床応用を目指している。細胞は3株の腸骨由来の間葉系幹細胞と,対照としての3株の線維芽細胞を用いた。各細胞の未分化状態および骨分化誘導,軟骨分化誘導,脂肪分化誘導各24時間後と28日後にRNAを回収し,DNAマイクロアレイ解析を行った。DNAマイクロアレイの結果に以下の5つの条件を適用し,間葉系幹細胞の骨分化初期に特異的に発現する転写因子の探索を行った。1)骨分化誘導24時間後の間葉系幹細胞で,全ての株における発現レベルがPresentあるいはMarginalである遺伝子,2)線維芽細胞での遺伝子発現レベルが未分化間葉系幹細胞と比較して2倍未満である遺伝子,3)骨分化誘導24時間後の間葉系幹細胞での遺伝子発現レベルが、未分化間葉系幹細胞と比較して2倍以上の遺伝子,4)軟骨および脂肪分化誘導24時間後の間葉系幹細胞での遺伝子発現レベルが,未分化間葉系幹細胞と比較して2倍未満である遺伝子,5)Ingenuity Pathway Analysis(IPA)およびDatabase for annotation, Visualization and Integrated Discovery(DAVID)のデータベース検索により転写を調節する事が示唆された遺伝子,以上の条件から11種類の転写因子を選定した。その中でも既に骨分化への関連が報告されているGLI2を除いた10種類の遺伝子BARD1, RAD51, TCEB2, ZBTB7A, KLF5, KLF6, PRRX2, SSBP3, ATBF1, SP110の機能解析を引き続き検討していく。
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