チタンファイバーを不織布状にした多孔質体であるチタンファイバーウェブによる顎骨再建材料を作製するため、同材料の有効性を検討した。チタンファイバーウェブは骨芽細胞培養や小動物の骨欠損への埋入試験において、いずれも良好な骨組織親和性を認めたが、このチタンファイバーウェブをさらにハイドロキシアパタイト薄膜でその多孔質体構造に全く影響を与えずに内部まで均一にコーティングしたところ、骨芽細胞の活動性の上昇が認められ、非コーティング群では培養14日目で認められていた石灰化物形成が培養3日目ですでに観察され、アパタイト結晶の有意な形成促進が認められた。また、動物実験ではラット頭頂部に直径5mmの骨欠損とこの欠損に一致するチタンファイバーウェブを作製して埋入したが、非コーティング群では埋入後6週でもチタンファイバーウェブ内の約50%程度しか新生骨が認められなかったのに対し、コーティング群では埋入3週で約30%、6週では約80%と、非コーティングよりも著しく有意に早い新生骨形成が認められた。これらの結果より、チタンファイバーウェブはハイドロキシ薄膜コーティングによって、骨組織との親和性が著しく上昇させられると考えられた。また、破骨細胞との親和性についても検討を行ったが、破骨細胞に関しては、破骨細胞活性化因子、活性化抑制因子のいすれも、ハイドロキシアパタイト薄膜コーティングによる効果は認めなかった。これらの成果は査読付き英文論文に受理され、掲載内定である。
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