インプラント治療の適応拡大により、近年、インプラントの抜歯即時埋入、即時加重、早期加重や糖尿病などの易感染性患者のインプラント治療など、患者のQOLの向上に伴い、術後感染リスクの高いインプラント治療が増えてきた。術後感染のリスク減少因子の1つに、生体が産生する抗細菌性タンパクの存在がある。抗細菌性タンパクには様々なものが報告されてきているが、細菌、真菌、ウイルスなど、広範囲スペクトルをもっていることおよび、歯周炎やインプラント周囲炎の細菌叢に、強い抗細菌作用を有することから、特にディフェンシンによる感染防御機構が注目されてきている。 本研究では、既に臨床応用されている4種類(機械研磨処理(P)、ブラスト処理(B)、酸エッチング処理(AE)、ブラストエッチング処理(SLA))を用い、各種インプラント表面形状におけるインプラント周囲組織関連細胞のディフェンシンの発現を検索する。さらに同様に炎症刺激下におけるインプラント周囲組織関連細胞のディフェンシン発現の違いを明らかにする。 実験に先立ち、Dr. Brunetteらの方法に従いサーフェイスの作成を行った。走査型電子鏡にてサーフェイスの表面形状を確認し、それぞれの細胞増殖、細胞伸展について観察し、細胞および表面形状間で細胞伸展が異なる知見を得ている。またそれぞれの表面形状におけるインプラント周囲組織関連細胞のディフェンシンの発現を定量的PCR法にて観察している。それぞれの表面形状および細胞間でその発現が異なっているが、データーを増やした後、解析を行う予定である。
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