現在までに、生体材料としての二酸化チタンセラミッ評価する研究や、その焼結体を作製しその機械的性質を報告するものは少ない。本研究では、生体材料として応用できる二酸化チタンセラミックスの創生を目的として、出発材料をルチル型およびアナターゼ型の2種類を使用し焼結体試料を作製し、その結晶相の同定、硬さ、表面観察を行った。 実験試料としてナノサイズ粒子径の二酸化チタンを使用した。二酸化チタン粉末を充填した金型を、1軸方向からプレスして作製した。600~1200度まで焼成条件を設定し、焼結体を作製した。600度では焼結するだけの温度に達していないため、焼結体として形状維持できないものもあった。液体に焼結体を浸漬させただけで、形状が崩壊してしまった。 アナターゼ型は焼成温度900上を超えると、ルチル型二酸化チタンに転位してしまうことがX線回折による結晶相の道程により明らかになった。これはアナターゼ型の特徴である光触媒作用が低下してしまうと考えられる。 また焼結条件の温度を上昇させると、焼結体のヌープ硬さが増加し、焼き締まって、形状が収縮した。 生体材料として応用するためには、その表面性状やぬれ性が細胞付着に大きく関与すると考えられるため、焼結体の表面観祭を行った。焼成温度が低いと焼結が進んでいないため、焼結前の出発原料に近い、粒子をブレス形成した後の状態であった。焼成温度を高くした焼結体の表面は、二酸化チタン粉末の焼結が進み、粒子同士が融合している状態が観察できた。 これより、二酸化チタン粉末を出発材料とした焼結体は、粒子が焼結する温度に達していれば、形態を保持し硬さを持った焼結体の作製が可能であることが明らかになった。
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