研究課題/領域番号 |
21791955
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
横井 由紀子 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (60469012)
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キーワード | 二酸化チタン / セラミックス / アナターゼ型 / 生体材料 / 焼結体 |
研究概要 |
本研究では、生体材料として応用できる二酸化チタンセラミックスの創生を目的としている。出発材料をアナターゼ型二酸化チタンを使用し、種々の温度にて焼結させることで試料を作製した。焼成温度が600度であると溶媒の中に浸漬させると試料が崩壊してしまった。そのため700度以上で、1300度まで100度毎に温度を変え焼結体を作製した。生体材料として応用できるある程度の硬さを得ることができた。 アナターゼ型二酸化チタンは、900度前後でルチル型に転移することを念頭に置き、アナターゼ型の触媒作用がどのように変化するのかをメチレンブルー溶液の脱色作用を指標として計測した。傾斜機能付与にこの触媒作用を制御できることは不可欠である。出発材料の粒子径、潜在的触媒作用の強弱、焼成温度などが傾斜機能の制御に大きな影響を与えることが判明した。今回の焼成条件では、二酸化チタンの結晶相は1000度以上ではすべてルチル型に転移していた。生体材料の条件として生体適合性を調べる必要性がある。特にアナターゼ型二酸化チタンの触媒作用が、生体にどのような影響をおよぼすかについて、作製した試料上での細胞培養実験を行った。実験用シャーレに配置した試料上に、マウス由来線維芽細胞を播種しその細胞増殖および細胞形態を観察した。光触媒能の強い700度試料上では、細胞が萎縮し播種時より細胞数の減少が認められた。900度以上では細胞増殖が顕著に現れた。900度以上では細胞形態に萎縮等の異常はみとめられなかった。 これにより、光触媒能が顕在しまた細胞増殖の見られる焼成温度は900度前後あることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料作製条件の設定に少し時間はかかったが、マウス由来繊維芽細胞による細胞培養実験を終えた。またマウス由来骨芽細胞培養実験はほぼデータ処理段階である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに試作した試料以外の形状にするための作製方法の考案を行う。また焼結体を作製する上で、どのようなバインダー材料が適当かを検討する。
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