本研究では、「薬物担持ナノ炭素材料」による早期骨形成能の実現、及び「モチーフ・プログラムド人工タンパク質」を用いた堅牢な細菌感染防御能の実現を通して、即時荷重インプラントに最適なチタン表面改質法を開発することを目的とする。「薬物担待ナノ炭素材料」を用いた実験では、CNHをキャリアとして用いるため、まず次の方法でCNHのチタン表面への固相化法を確立した。チタン結合ペプチドであるTBP-1とCNH結合ペプチドであるNHBP-1を連続させたペプチドを用いることで、分散性の良いCNHをチタン表面へ均一に固相化する方法を確立した。このCNHを固相化したチタンに細胞毒性が無いことも確認している。また、DEX担待CNHのチタン上への固相化に成功し、その徐放を確認した。前骨芽細胞株であるMC3T3-EIを用いた実験では、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を検討したところ、5、7、10、14日と徐々にALP活性が上昇していることが分かり、DEX活性がチタン上に担待され、その徐放が細胞へ影響を及ぼしていることが分かった。「モチーフ・プログラムド人工タンパク質」を用いた実験では、チタン結合モチーフと細胞接着モチーフを持つ人工タンパク質を作製した。この作製した人工タンパク質がチタン結合能と細胞接着能を持つことを、QCMを用いた実験し細胞接着アッセイにより確認した。そこで、動物実験へのステッブとして、まずラットのインプラント周囲上皮(aPIE)の特徴を検索した。方法しとては、チタン製インプラントをラットの口蓋に埋入し、3、7、14、28日後に屠殺を行い、免疫組織化学的染色を行った。その結果、非角化の上皮であるaPIEは初期にインプラント表面に接着するが、その後、結合組織の創傷の治癒に伴い、インプラント表面から離れることが示唆された。次年度はこのデータをふまえ、作製した人工タンパク質による影響をin vivoにて検討していく予定である。
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