口腔カンジダ症の発症には一般に宿主の免疫能が関与していると考えられており、健常人においても栄養状態の低下と、口腔カンジダ症の発症が関連することや、加齢とともに、カンジダ菌陽性率が増加してくることも明らかになってきた。口腔カンジダ症は、粘膜表面からの感染に対して第一ステップとして自然免疫が主体に対応すると考えられており、Toll様受容体と、制御性T細胞の二つの因子の関係に着目した。マウスおよびヒトの加齢変化に伴う自然免疫能の減弱レベルを評価し、口腔カンジダ症の新たな発症因子を探ることが本研究の目的である。 21年度は口腔カンジダ症患者と健常者のTLR2の発現FACSで検討を行いMann-Whitney検定で比較したところ、口腔カンジダ症患者で有意に発現レベルの低下が認められた。しかし、口腔カンジダ症患者が高齢なのに対してコントロール群である健常者の年齢設定が低いため、高齢健常者について検討を行いたいと考えている。TLR4は口腔カンジダ症患者とコントロール群で発現レベルはいずれも低かった。また、難治性のカンジダ症患者にTLR2の発現量の低下する傾向と、カンジダ選択培地のコロニー数が多いほど、TLR2の発現量が低下する傾向も認められたため、症例を増やして今後調査を進めたいと考えている。本研究のもう一つの軸である、マウスのカンジダモデルについては進行が遅れているが、本年度本格的に動物実験を重ねていく予定である。
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