本年度申請者らはRIG-I(retinoic acid-inducible gene-I)の口腔癌における役割を検討すべく研究を行った。本研究においては、これまで遂行してきたRIG-I遺伝子の機能解析に加えて、口腔癌由来細胞株を用いて同遺伝子のシグナル伝達カスケードを明らかにし、口腔癌細胞の細胞周期を制御し、加えてアポトーシスに導くことを目的とした。 既知のGenMAPPパスウェイ(生物種:human)に対してプロテインアレイ解析で得られた発現値(発現比)のマッピングを行い、細胞周期関連パスウェイ「Hs Cell cycle KEGG」および「Hs Cell Cycle-G1 to S control Reactome」における各遺伝子の発現挙動を描画した。 発現値をマッピングした「Hs Cell cycle KEGG」パスウェイ図より、G2/M期進行のチェックポイントに関与し、細胞周期の停止に関与するCHEK1およびその下流に位置するCDC25Cが、RIG-I強制発現サンプルで発現上昇にあることが認められた。また、DNA修復経路に関連するPCNAも、発現上昇の傾向を示した。一方、RIG-I siサンプルでは、CHEK1およびCDC25C、PCNAは発現減少を示し、RIG-I強制発現のサンプルと逆の発現傾向が見られた。 以上の結果から、RIG-Iには細胞増殖抑制効果があることが示された。
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