研究課題
口腔癌の画像診断法としては現在、CT・MRI・PETなどが有効な手段として常用されている。しかし、これらの画像検査法を用いても直径1cm以下の所属リンパ節における微小転移の有無を正確に診断することが困難である場合が多く、頸部郭清術の必要性の有無や放射線照射範囲の設定等の判断に際し苦慮する場合が多い。本研究の目的は、ナノバブルと超音波を用いた新しい四次元画像解析システムを用いて、口腔癌のリンパ節早期診断システムを開発することである。平成21年度においては、実験腫瘍モデルマウスとルシフェラーゼ遺伝子を恒常的に発現する実験腫瘍細胞株を用いて、ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断システムモデルの診断精度を検証した。実験方法は、マウス皮下に上記ルシフェラーゼ発現細胞を接種し、経時的にキャリパーで腫瘍の大きさを測定するとともに、in vivo生体発光イメージングシステムにて増殖しているルシフェラーゼ発現細胞の発光強度測定し、同時に、高周波超音波画像解析装置にて腫瘍細胞の体積を測定した。さらに、高周波超音波画像解析装置にて、腫瘍組織内の微小腫瘍血管の分布や密度を検討した。その結果、ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断システムを用いることにより、キャリパーでは精確な実測が不可能な深部の腫瘍の体積を精確に測定できること、この超音波画像解析装置による解析結果は、in vivo生体発光イメージングシステムによる解析結果と相関性がみられること、さらに、これまでの画像診断システムでは検出が困難な数mmレベルの腫瘍組織内の微小腫瘍血管の分布や密度を描出できることが明らかとなった。しかし、実際の臨床においては、増殖パターンや浸潤様式の異なる腫瘍に対応できる画像診断システムが要求されることから、現在、このナノバブルと高周波超音波画像解析システムを用いて、増殖パターンや浸潤様式の異なる腫瘍細胞株を用いて、診断精度の検証をおこなっている。
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J Oral Pathol Med. (未定, 印刷中)