本研究の目的は、ナノバブルと超音波を用いた新しい四次元画像解析システムを用いて、口腔癌のリンパ節早期診断システムを開発することである。これまで我々は、実験腫瘍モデルマウスとルシフェラーゼ遺伝子を恒常的に発現する実験腫瘍細胞株を用いて、ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断システムモデルの診断精度を検証した。その結果、ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断システムを用いることにより、キャリパーでは精確な実測が不可能な深部の腫瘍の体積を精確に測定できること、この超音波画像解析装置による解析結果は、in vivo生体発光イメージングシステムによる解析結果と相関性がみられること、さらに、これまでの画像診断システムでは検出が困難である数mmレベルの腫瘍組織内の微小腫瘍血管の分布や密度を描出し測定できることが明らかとなった。しかし、実際の臨床においては、増殖パターンや浸潤様式の異なる腫瘍に対応できる画像診断システムが要求されることから、平成22年度においては、ナノバブルと高周波超音波画像解析システムを用いて、増殖パターンや浸潤様式の異なる腫瘍細胞株を用いて、診断精度の検証をおこなった。その結果、腫瘍塊を形成せず、び慢性に浸潤するタイプの腫瘍の初期浸潤像は、従来の超音波診断装置では検出が困難であったが、ナノバブルと高周波超音波画像診断装置を用いて対象となる臓器の血管密度を四次元的に解析することにより、腫瘍の初期浸潤を検出することが可能であることが示唆された。
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