研究概要 |
ヒトへの顎顔面再建の臨床応用に向けて、3Dインクジェットプリンターを用いたリン酸三カルシウム人工骨(IPCAB)の完全連通孔を設計し、さらにこの完全連通孔にbFGFをプリントしたIPCABを造形し、本年度は、in vitroにおける評価を行った。 I完全連通孔の力学的評価 直径20mmの円盤状に対し、直径2mmの完全連通孔を0-5本、三次元CAD上で設計し、TCP粉体を3Dインクジェットプリンターで造形することで、完全連通孔を有するIPCABを作製した。まず、圧縮試験機を用いてIPCABの力学的評価を行った。連通孔が増えれば増えるほど圧縮強度は低くなり、連通孔0本に対して、5本のものは1/3程度の圧縮強度であった。次に、有限解析方法を用いて、シミュレーションによる力学解析を行い、剛性値を比較した。剛性値は連通孔が増えれば増えるほど低くなり、連通孔が0本に対して、5本のものは、1/2程度であった。シミュレーションの剛性値と実際の圧縮強度は相関していた。連通孔0に対して60%以上の圧縮強度をもつのは、連通孔3本以下のもの、また、連通孔0に対して、60%以上の剛性値をもつのは連通孔3本以下のものであり、直径20mmの円盤形状に対する最適連通孔は3本と考えられた。 IIbFGFをプリントした完全連通孔の生物学的評価 0-5本の完全連通孔をもつIPCAB上で、マウス由来の骨芽細胞であるMC3T3-E1細胞を20,000cells/wellで6ウェルに播種し、CO2インキュベータ内で24時間前培養、Cell Counting Kit-8キット(同人化学)を用いて呈色反応を行いマイクロプレートリーダーにより吸光度450nmを測定し、細胞増殖能を評価したところ、連通孔による有意差は認められなかった。
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