研究課題
われわれは、マウスの口腔扁平上皮癌細胞株であるNR-S1Kを用いた、同系マウスへの移植モデルにおいて、癌の免疫回避機構のなかでも、補助刺激分子の一つであるB7-H1/B7-DC : PD-1経路、および、癌細胞の産生する可溶性因子により誘導される未熟骨髄系細胞の性状および機能について解析を進めてきた。1.NR-S1KはB7-H1/B7-DCともに発現していないが、in vitroでIFN-g存在下に培養すると、また、マウスに生着させてin vivoに腫瘍増殖させると、B7-H1の発現が誘導された。2.NR-S1Kをマウスに接種すると、原発腫瘍の大きさに比例して脾臓の腫大が認められたが、それはCD11bhighGr-1med-highの大型リンパ球(Myeloid derived suppressor cell,以下MDSCとする)の異常増殖によるもので、脾臓のみならず末梢血、リンパ節および腫瘍周囲にも同細胞の集積が認められた。3.MDSCの表面抗原の解析では、Gr-1med-high、F4/80dim+、Ly49Q+、SIRPa+、PIR A/B+であったが、CD11cやMHC class I/IIは通常の樹状細胞の発現レベルより低い発現を示しており、CD80/CD86に関しても、それぞれ発現なし/低発現であった。4.MDSCは、成熟好中球とは異なる、未熟骨髄系細胞とでもいうべきヘテロな細胞集団であった。5.MDSCはサイトカイン発現のmRNAレベル解析では、IL-1b、IFN-a、IL-4、MIP-1aの発現のみが認められた。6.MDSCの存在にもかかわらず、担癌マウス所属リンパ節細胞の増殖反応は 増強されていた。7.NR-S1Kを同系マウス皮下に接種する前後に、別の担癌マウスより分離したMDSCを移植しても、腫瘍の増殖に対する明らかな影響は認められなかった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 7 ページ: 1165-8
10.7860/JCDR/2013/6037.3096.
日本口腔外科学会雑誌
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