研究概要 |
Phosphodiesterase (PDE) 1は11種類報告されているPDEファミリーの一種で,細胞内のcAMP等の濃度を調整している.2004年,われわれは,粘菌由来の物質で腫瘍増殖の抑制作用も持つDifferentiation-inducing factor (DIF)のターゲット分子がPDE1であることを発見した.そこでDIF・PDE1シグナルによる悪性黒色腫の治療を着想し,科学研究費若手研究(B)(平成17, 18年度・平成19, 20年度)で,(1)悪性黒色腫細胞でのPDE1発現(2)悪性黒色腫細胞でのPDE1遺伝子変異の発見(3)遺伝子変異部位に対するsiRNAの作成等を行った.そこで本研究ではPDE1と運動能との関係をin vitroで検討した. ヒト口腔由来悪性黒色腫細胞MAA等に,発現しているアイソザイムであるPDE1Aと,PDE1Cに対するsiRNAを作用させ,発現の抑制効果をリアルタイムPCRで確認した.また,siRNAを作用させた場合の運動能の変化を,マトリゲルインベージョンチャンバーを使用して検討した.尚,PDE1Cについては,遺伝子変異部位に対するsiRNAを使用した.その結果,PDE1A, PDE1Cそれぞれの発現は70%以上抑制された.また,siRNAによってPDE1A, PDE1Cの発現を抑制すると,いずれの場合にも運動能は,やや亢進した. 上記の研究結果は、第54回日本口腔外科学会総会(札幌)にて発表した.
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