研究概要 |
いかなる唾液由来の因子がどのようなメカニズムで宿主免疫応答を調整しているのか詳細は不明である。そこでわれわれは唾液腺に多量に存在する神経成長因子(NGF)に注目した。NGFは末梢や中枢の神経システムに関連した細胞だけでなく、肥満細胞やマクロファージ、リンパ球など免疫系の細胞に作用することが最近報告されている。唾液腺に存在するNGFの免疫調節性についての報告は存在せず、われわれが既に開発しているH. pylori感染モデルを用いて解析を行い、消化管におけるその作用の詳細を明らかとすることを目的とする。また、食物アレルギー動物モデルにも応用し、唾液中のNGFの食物アレルギーに果たす役割についても解明した。マウスは6週のC57BL/6雄マウスを用いてI群はコントロール抗体を投与したもの、II群はSALXを施行したマウス、III群はSALXを施行したマウスにNGFを投与したもの、IV群はanti-NGF投与したマウスとするし、唾液および血清に存在するNGF量の検討した。また各群おいてOVAに特異的な便中の分泌型IgAやOVAに特異的な血清IgG, IgG subclassについて検討をおこなった。そしてコントロール抗体やNGFで前処置した1×10^5/wellのsplenic B細胞を96穴のプレートにいれ、LPSやanti-NGFのある、なしで12日間培養し、IgGおよびIgAの産生量をELISAにて測定した。NGFにより特異的な分泌型IgA、血清IgGが制御されていた。各群のバイエル板を採取しB細胞(B220)、T細胞(CD3)、樹状細胞(CD11c)の染色をおこない、各群でそれぞれの局在を検討した。
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