研究概要 |
桂花匂い刺激による摂食行動へ及ぼす影響:脳内オレキシン活性レベルを上昇させた条件下で摂食行動パターン特性を検討し、桂花匂い刺激によりオレキシン活性レベルを下降させた条件下で摂食行動解析実験を行い、比較検討した。研究方法:雄性成獣ラット(280-300g,n=10)を用いて、左側側脳室に薬物注入用のガイドカニューレ、左側咬筋・顎二腹筋前腹に双極誘導電極を留置した。術後10日の回復期間を経て、オレキシンA(OX-A)(3nmol)あるいはControlとして生理食塩水を脳室内投与した。薬物投与4時間後までの摂食量を測定し、ビデオ撮影による行動解析実験ならびに咀嚼筋からの筋活動記録実験を行い、二条件間で比較検討した。 研究結果:I)脳内オレキシン活性レペルを上昇させた条件下:薬液注入後の累積摂食量は二条件間で有意な差を認めた。摂食開始までの時間はOX-A投与条件下で有意に短縮し、摂食率も増大した。また、一定飼料量の咀嚼回数は,OX-A投与条件下で有意に減少した。また、咬筋からの筋活動記録においてControl条件下では、咀嚼準備期および粉砕期に相当する規則的な交替性の筋活動が観察されたが、OX-A投与条件下では咀嚼準備期と粉砕期に相当する筋活動の規則的な交替性が一部消失する傾向がみられた。さらに、OX-A投与条件下において咀嚼準備期では筋活動の最大振幅値の増大、バースト間インターバルの短縮、バースト発生頻度の増加傾向が観察された。一方、粉砕期においては、最大振幅値の増大に加え、バースト持続時間の延長,バースト発生頻度の有意な減少傾向が認められた。 II)脳内オレキシン活性レベルを下降させた条件下:雄性成獣ラット(280-300g,n=10)を用いて、匂い刺激(1.無臭,2.桂花匂い)を付与した状態で、実験III-iと同様の手法で開始後4時間までの摂食量を測定し、ビデオ撮影による行動解析実験にて二条件間で比較検討した。桂花の匂い刺激でOXの脳内活性レベルを下降させた条件下では、摂食量は減少し、同量の飼料を与えた際の摂食開始までの時間は延長し、摂食率は減少した。
|