平成23年度については、卵巣摘出術(OVX)による骨粗鬆症モデルマウス作製手法が安定し、様々な実験に供することができた。8週齢雌性マウスにOVXを施術し、閉経後の骨粗鬆症に対するDHNAの効果を検討し既存の骨粗鬆症治療剤であるvitaminK2 (VK)、risedoronate (Ris)との比較を行った。実験群はDHNA投与群、VK投与群、Ris投与群とし、各薬剤を連日経口にて8週間投与した。投与後大腿骨および第5腰椎を採取し、まず、X線学的検討を行った。X線学的検討としては、軟X線撮影装置(Sofron)にて骨吸収の発生部位を確認した後、軟X線画像をもとにマイクロCT撮影装置にて2μmのスライスで撮影を行い、画像処理にて3D構築画像を作製。画像解析ソフトウェア(3D-BONE TRI)にて三次元的に骨解析を行い、同時に骨密度の計測・骨形態の計測を行った。その結果、マイクロCTにて計測した骨密度(BMD)はDIMA群で上昇し、骨形態計測では海綿骨の骨梁構造の維持を確認できた。次いで、同時に採取した血清を用いて、骨代謝マーカーの計測を行い、その上昇を確認できた。また、in vitroでの確認実験として、マウス骨芽細胞株(MC-3T3)を培養し、液体培地にDHNA添加し、分泌されるアルカリフォスファターゼ(ALP)をELISA法にて計測し、DHNAの骨芽細胞への影響を検討したところ、DHNA添加後にALP活性が有意に上昇することを確認した。本年度ならびに前年度以降得られた結果より、DHNAは骨粗鬆症治療薬剤VKよりも骨吸収を抑制する効果があることを示唆できるものとなった。また、in vitroでの骨芽細胞への影響から、DHNA投与によって高いALP活性を誘導し、骨芽細胞活性化すると考えられ、DHNAの骨粗鬆症薬剤としての可能性を示唆できるものであった。
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