インドシアニングリーン(ICG)ならびに赤外観察カメラシステムを用いて口腔癌のセンチネルリンパ節(SLN)を同定することが可能か否かを検討した。方法としては、口腔癌1次症例(cNO)12例を対象に、昨年度の検討にて得られた至適条件(0.25mg/mLのICGを1mLを腫瘍局所に注入)でICGを投与後、顎下部に約5cmの広頸筋に達する切開を加えて広頸筋下層を明示し、赤外観察カメラシステムを用いてSLNを探査した。 原発巣は、舌:4例、下顎歯肉:4例、上顎歯肉:1例、口底:1例、頬粘膜:1例で、これらのうち口底の1例ではSLNの同定が困難であったものの、その他の11例ではSLNの同定は可能であった。同定されたSLNの領域は、レベルIのみ:3例、レベルIIのみ:1例、レベルIIIのみ:1例、レベルI+II:5例、レベルI+III:1例であった。SLNの領域別の総数は、レベルI:11個、レベルII:9個、レベルIII:2個で、個数は平均2.0±1.1個/例であった。術中迅速病理組織検査でSLNに転移陽性が認められた症例は2例で、この2例に対しては頸部郭清術を施行したが、SLN以外のリンパ節に転移は認められなかった。SLNに転移が認められなかった9例においては経過観察のみであるが、1~18か月経過するものの後発頸部リンパ節転移を来たした症例は認められていない。 以上の結果より、ICGと赤外観察カメラシステムを用いたSLNの同定は口腔癌において有用であり、SLNに転移が認められなかった症例において従来の予防的頸部郭清術を省略できると思われる。
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