研究概要 |
耐性形成の原因の一つとして,μオピオイド受容体(μOR)のinternalization(細胞内移行)および細胞膜へのrecycling(再感作)様式の違いが示唆されている。本研究では,急性耐性・痛覚過敏形成への関与が示唆される,超短時間作用性オピオイド製剤レミフェンタニル(RF)を,蛍光タンパクVenus融合μORを発現させたBHK細胞に各条件下で作用させ,μORの細胞内局在について共焦点レーザー顕微鏡を用いて評価・比較検討を行った。 1.濃度・作用時間による影響 (1)RFでは濃度依存性にμORを細胞内移行させ,再感作を抑制 (2)低濃度RFにおいても長時間の暴露により再感作が抑制 以上より,RFによる急性耐性・痛覚過敏形成には,高濃度または長時間暴露が急性耐性や術後痛覚過敏を惹起している可能性が示唆された。 2.各種鎮痛剤併用による影響 S(+)-ケタミンは各濃度でRFによるμORの細胞内移行の抑制、再感作を促進 以上より,RFによる急性耐性予防に対し,ケタミンが有効である可能性が示唆された。 なお,詳細については,以下学会で発表を行った。 1.第36回日本歯科麻酔学会「μ-オピオイド受容体の細胞内internalizationおよび細胞膜へのrecyclingに対するレミフェンタニルの効果」 2.2009米国麻酔科学会「Remifentanil-induced impairement of μ-opioid receptor recycling.」 3.日本麻酔科学会第56回学術集会「レミフェンタニルによるμオピオイド受容体の細胞内移行および再感作様式の解析-フェンタニルとの比較およびS(+)-ケタミン併用の影響-」 4.日本麻酔科学会第57回学術集会「remifentanilによるμ-オピオイド受容体の細胞内局在の解析-受容体刺激時間および濃度による影響-」
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