研究課題
【背景と目的】口腔扁平上皮癌における5-フルオロウラシル耐性は治療の治療の障害であるが、その耐性化メカニズムは十分に解明されていない。本研究では、そのメカニズムを明らかにする目的で行った。【材料と方法】われわれは口腔扁平上皮癌細胞株SASより5-フルオロウラシル耐性株SAS/FR2を樹立し、両者にcDNAマイクロアレイ解析を行い、耐性株に高発現したcIAP2に着目した。siRNAによって耐性株のcIAP2発現を低下させると5-フルオロウラシルに対する感受性、アポトーシス実行タンパクであるカスパーゼの活性、およびアポトーシスの評価を行った。さらに、5-フルオロウラシル併用の術前化学放射線療法後に手術を行った口腔扁平上皮癌患者54例について、治療前の組織標本を用いてcIAP2に対する免疫組織学的染色を施行した。【結果】SAS/FR2は親株に比べて5-フルオロウラシル処理にて高い抗アポトーシス活性を有していた。siRNAを用いたin vitroでのcIAP2抑制実験ではSAS/FR2の5-フルオロウラシルに対する感受性が増加し、カスパーゼの活性とアポトーシスが増大していた。さらに、患者検体におけるcIAP2の高発現は5-フルオロウラシル併用化学放射線療法後の組織学的効果と相関を認めた。Cox回帰分析では、cIAP2の発現状態と化学放射線療法に対する反応が有意な予後因子であった。【結論】これらの結果は、cIAP2が口腔扁平上皮癌患者の5-フルオロウラシル感受性と予後のバイオマーカーとなりうる可能性をもち、治療のターゲットとして有用りうることを示している。
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