研究課題
BRAKは癌細胞で遺伝子発現が消失している分子であると報告されているが、その原因としてEGFRシグナルによる遺伝子発現の低下とプロモーター領域のメチル化が挙げられる。前者においては、ゲフィチニブによるEGFRシグナルの遮断で、BRAKの遺伝子発現が回復とともに腫瘍縮小効果が確認された。一方、YCU-H891(頭頸部扁平上皮癌細胞でありBRAKを発現していない癌細胞)では、ゲフィチニブ処理においても遺伝子発現が回復せず、またゲフィチニブによる腫瘍縮小効果が見られなかった。このことから、BRAKのプロモーター領域のメチル化を検出することが、ゲフィチニブ投与前における効果判定マーカーになる可能性があり、検出するためのメチル化特異的プライマーを構築することが目的であった。21年度は、in vivoの実験系で、ゲフィチニブに感受性を示さない癌細胞株(BRAKのプロモーター領域がメチル化している細胞株)においてメチル化阻害剤であるデシタビンとの併用療法で、抗腫瘍効果を示すかどうかについて検討を行った。今回私は、デシタビンによりゲフィチニブに対する感受性が亢進することを示す結果を得た。本研究結果より、BRAKのプロモーター領域のメチル化がゲフィチニブの感受性に関与する結果を得た。
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Biomed Res. 30
ページ: 315-318
Cancer Sci. 100
ページ: 2202-2209