本年度は、下歯槽神経における安定した拡散テンソルトラクトグラフィーの描出方法を確立する事を目的とした。MRIの基本撮像条件はSE型エコープラナー法、MPG6軸、b値1000とし、スライス厚、加算回数、撮像コイルや頭部の固定方法等による描出能について検討した。なお、MRI装置は1.5T(フィリップス社製)、トラクトグラフィー作成には、東大医学部附属病院放射線科画像情報処理・解析研究室において開発されたMR拡散テンソノヒ解析ソフトウェアであるdTV.IISRを使用した。 検討を行った結果、一般的に脳白質に用いられている撮像条件では信号強度不足であり、スライス厚、加算回数を大きくし、小径コイルを用いるほど描出能がよくなる傾向であった。さらに、スポンジを咬ませ、頭部をチンネックバンドで固定し、動きの抑制を行うことで描出能は向上した。 小径の撮像コイルでは感度領域に制限がある為、コイルを片側に2つ配置し一側のみの撮像とすることで下顎孔からオトガイ孔まで描出することができた。また、エコープラナー法および拡散テンソル画像由来のアーティファクトによる描出不良が見られたが、スライス角度を咬合平面と水平に撮像した方が頭側および尾側に角度を付けた場合よりもアーティファクトが少なく描出能が良い傾向であった。 来年度は、さらい撮像方法および撮像条件(細部のパラメータまで含めて)を改良し最適化を図るとともに、トラクトグラフィー作成時のROIやパラメータの設定など撮像条件以外の検討も行い、定量的な評価を可能にしていく。
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