研究課題
我々は、これまでエナメル基質の発現誘導に関して、細胞外マトリックスや細胞増殖因子以外の第3の因子として細胞間結合分子が重要であり、特にGja1分子がエナメル質形成に重要なアメロブラスチンの発現制御に関わる新規分子である事を明らかにした。またGja1分子は、TGF-β1刺激によるアメロブラスチンの発現誘導について、Smad経路のシグナルには全く影響を及ぼさず、逆にMAPKinaseファミリーの1つであるERK1/2のリン酸化を制御していることを明らかにした。しかしながら、ERK1/2のリン酸化がどのようにアメロブラスチン発現に関わっているか詳細は明らかではなかった。そこで、さらに詳細なGja1分子の機能解析を目的として研究を行った。ERK1/2によってリン酸化されるアメロブラスチンの転写制御因子の1つであるRunx2の活性化制御に関して解析した結果、次のことがわかった。TGF-β1刺激によってリン酸化されたERK1/2とSmad2/3は核内に移行し、Runx2のセリンをリン酸化し、アメロブラスチンの転写を活性化する。しかしながら、ギャップジャンクションの抑制剤存在下では、リン酸化されたSmad2/3は核移行できるが、ERK1/2の核移行が阻害され、核内のRunx2のセリンのリン酸化が抑制され、Smad2/3と結合することができず、アメロブラスチンの発現誘導が抑制されてしまうことが示唆された。
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Archives of Oral Biology 54
ページ: 963-969
The Journal of Biological Chemistry 284(40)
ページ: 27176-27184