骨細胞は骨芽細胞から分化する際に形態変化を引き起こして突起によるネットワークを形成する。この突起によるネットワークが骨に対するメカニカルストレスを感知し、骨代謝を制御していると言われているが、その役割や状態の詳細は未だ解明されていない。そこで本研究では、骨組織中の骨細胞ネットワークが、変化するコミュニケーションを持つかどうかを3次元的に解明することを目的としている。しかしながら、これまで骨細胞は周囲を硬い骨基質中で覆われているため、その3次元構造を観察することさえ困難であった。そのため、骨組織中の骨細胞の突起によるネットワークが本当に動的に変化するかどうかは、未だ解明されておらず不明である。我々の研究グループは、骨細胞がアクチン線維に富んでいることに注目し、ニワトリの骨組織中の骨細胞、骨芽細胞のアクチン線維を蛍光色素と共焦点レーザー顕微鏡を用いて3次元構築し、形態計測する方法を考案した。しかしながら、この手法はニワトリ頭蓋骨のみで使用できる技術であったため、本年度は、実験動物として最近普及している遺伝子改変マウスにも応用できるように、マウスで骨中の骨細胞を可視できるように研究した。その結果マウスの骨組織中の骨細胞を三次元的に観察することが可能となり、その形態計測結果をCalcif Tissue Int (in press)に報告した。マウスの骨細胞の三次元的形態およびその分布はニワトリのそれと異なっていることがわかったが、丸いbodyと細長い突起を多数持つという特徴は類似していることが分かった。本年度は生きた骨組織中の骨細胞のカルシウム動態についてもライブイメージでとらえ、学会報告を行った。
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