研究概要 |
本研究の目的は,ミュータンスレンサ球菌の定着時期に合わせて,低濃度のフッ素化合物(100ppmF)を適用することにより,ミュータンスレンサ球菌に先立ち,新しいフローラが形成され,その結果う蝕の原因菌であるミュータンスレンサ球菌の感染成立が遅延し,う蝕予防効果が得られると仮説を立て,それについてコホート調査することである。また,8,9か月から2歳6か月までミュータンスレンサ球菌感染の感染の有無と口腔内状況をあわせて調査することは,乳幼児から開始するう蝕予防方法を確立する上で非常に意義のある結果が得られると考えている。調査対象は,平成21年度に実施された8,9か月健診を受診した親子で本研究に参加の了解を得られた小児とした。健診時に低濃度フッ素化合物(レノビーゴ^<(R)>)使用方法について説明し,1回/日は使用するよう指示するとともに,口腔内検診,口腔衛生指導,ミュータンスレンサ球菌感染の有無の測定(デントカルトSM^<(R)>)を80名の小児に実施した。8,9か月健診時のデントカルトSM^<(R)>の検査結果は,コロニー形成を認めず感染が成立していないと考えられた小児は,68名(85%),ミュータンスレンサ球菌感染数が10万/ml以下の小児は,12名(15%)であった。ミュータンスレンサ球菌数が10万/ml以上の小児は認められなかった。う蝕を有する小児は認められなかった。
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