研究概要 |
本研究は,ミュータンスレンサ球菌が歯面にしか定着できない性質をふまえて、歯の萌出に合わせてフッ素化合物を適用することにより、ミュータンスレンサ球菌に先立ち、新しいフローラが形成され、結果ミュータンスレンサ球菌の感染成立が遅延するためう蝕予防効果が認められるのではないかと仮説を立て、その科学的根拠を立証するものである。 低濃度フッ素化合物100ppmFを8、9か月の頃より塗布することにより、2歳6か月においてう蝕の有無、プラーク量について検討した。 本研究に参加同意が得られた小児は、8、9か月時で80人であったが、2歳6か月時でデータを収集できた小児は50人であった。 う蝕を保有する小児の割合は4.0%(2人)、う蝕を保有しない小児の割合は96%(48人)、COを保有する小児の割合は4.0%(2人)であった。付着しているプラーク量は、付着なしの小児の割合は26%(13人)、付着ありの小児の割合は74%(37人)認めた。著しいプラーク付着は認めなかった。 デントカルトSM検査にて、S.mutansの感染を確認した小児は8.0%(4人)であった。2歳6か月の段階で、デントカルトSM検査にて、S.mutansの感染を認めない小児がほとんどであった。デントカルトSM検査でのS.mutans感染状況を唾液1ml中のS.mutansの菌数が100,000/ml以下をクラス0あるいは1、100,000~1,000,000/mlをクラス2、1,000,000/ml以上をクラス3に分類したところ、クラス0が2人でクラス1が2人であった。クラス2以上の感染は認めなかった。
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