研究概要 |
TACE活性抑制制御因子であるTIMP3の骨折治癒過程における役割を検討するため、in vitroで骨リモデリングを担う骨芽細胞、破骨細胞、免疫細胞等との相互作用を検索した。まず、各臓器および各種細胞でのTIMP3発現パターンを比較した。結果、各臓器においてはほぼ均等な発現パターンを示し、各種細胞については間質細胞での発現が非常に高くおよび破骨細胞での強いTIMP3発現を認めた。次に組み替えTIMP3蛋白添加ならびに、siRNA導入による破骨細胞分化と骨芽細胞分化についての影響について検討した。組み替えTIMP3蛋白添加では双方とも特記する変化は認められなかったが、siRNA導入によるTIMP3発現抑制系において、破骨細胞分化を強力に抑制した。そこで破骨細胞分化における各種段階でのTIMP3発現について検索したところ、破骨細胞前駆細胞ではほとんど認められず、破骨細胞に分化するに従いその発現が増強する事を見いだした。 また、Maesらの報告(Maes et al, J Clin Invest. 116(5) : 1230-42, 2006)を参考にマウス骨折治癒モデルを確立した。方法として、(a)10週齢雄性マウスを用い脛骨を露出させ、脛骨近位より26G針を骨軸に平行に髄内へ刺入し、髄内釘挿入部を作成し、(b)矢印に示す骨幹部でニッパーを用いて骨切り。(c)その後、直径0.4mmのステンレススチールワイヤーを26G針の内部に挿入し、骨近位より髄内、骨折部を通り遠位骨片髄内へ挿入し、髄内釘として骨折部を固定。骨折後3日、7日、10日、20日目において軟エックス線撮影、マイクロCTによる形態学的観察を行った。また組織の固定後、薄切切片を作製しin vivoにおいて骨折治癒過程におけるTIMP3の発現分布を免疫染色にて現在、検討中である。
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