これまで、PRIP-1の組織特異的な遺伝子発現の制御機構の解明を目的として研究を行ってきた。脳に特異的に発現しているPRIP-1に比べPRIP-2は比較的ユビキタスに発現している。そこで、PRIP-2遺伝子の構造の解析を行った。組織或いは培養細胞のRNAを用いて、逆転写反応によりcDNAを作製し、クローニングを行い、その全塩基配列を決定した。転写開始点を決定するために5'RACE法やキャップサイティング法を行った。その結果、PRIP-2の転写開始点は複数みとめられ、転写産物はいくつかあることが示唆された。 またPRIP-1では選択的スプライシングが行われていたため、PRIP-2の転写産物についてもRT-PCR解析を行い、その間のシークエンスをした。しかしながら、今回の研究では、PRIP-2においては、選択的スプライシングによる転写産物を検出することができなかった。 矯正力によるメカニカルストレスにより、歯根膜腔の未分化間葉細胞が骨芽細胞へと分化し、種々の因子を発現知ることで歯槽骨のリモデリングが活性化され、歯が移動する。骨芽細胞において、Caレセプター(CasR)を介し、PLC活性が調節されるといわれている。そこで、矯正力による歯牙移動のメカニカルストレスと、PRIP蛋白質の関係についての解析を行うことにした。12週齢の雄マウスの前歯部を固定源として、ニッケルチタンオープンコイルを用いて、約10gの矯正力を加え、1週間、粉餌で飼育し、臼歯部を後方移動させ、歯牙移動マウスを作製した。。歯牙移動マウスとコントロールマウスでのPRIP-1およびPRIP-2の発現量をリアルタイムPCR法を用いて解析を行った結果、両者に有意差は認められなかった。さらに、GABA_A受容体の各サブユニット(α1、β2/3、γ2)の発現量も調べたが、有意差は認められなかった。
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