研究課題/領域番号 |
21792091
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
郡司掛 香織 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90448811)
|
キーワード | 三叉神経節 / サテライト細胞 / 歯の移動 |
研究概要 |
末梢神経傷害後には、傷害を受けいた神経細胞のみでなく、傷害を受けていない神経細胞にも影響が及ぼされることが過去に報告されているが、傷害を受けた細胞から、受けていない細胞への情報伝達がどのようになされているのか明らかでない。 昨年度の研究で、ラット上顎臼歯の矯正的歯の移動後に、傷害を受けた上顎神経相当部のニューロンを取り囲むGFAP-IRのSGCsの数が、コントロールと比較して増加し、さらに傷害を受けていない下顎神経相当部のSGCsもGFAP陽性で活性化していることが示された。このことから、傷害を受けた細胞から、傷害を受けていない細胞への情報伝達はsatellite glial cellsを介していることが示唆されたが、どのような経路で伝達しているのか明らかでなかった。そこで今年度は、satellite glial cellsがギャップ結合、ヘミチャネル、小胞型トランスポーターを介して物質を細胞外に放出して、周囲の細胞が受け取るのではないかと仮説を立て、研究を行い、以下の結果を得た。 1.ラット三叉神経節をRT-PCRによって調べたところ、VNUT mRNA発現が認められ、in situ hybridization法から、ニューロン、satellite glial cells両方にVNUT mRNA発現が認められた。 2.免疫染色からconnexin43はニューロンとsatellit eglial cellsに、pannexin1はニューロンとsatellit eglial cells間に発現していた。 以上の所見から、三叉神経節にはギャップ結合、ヘミチャネル、小胞型トランスポーターいずれの経路も存在することが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VNUT mRNAの発現をin situ hybridization法で調べる手法の確立に時間がかかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で三叉神経節にはギャップ結合、ヘミチャネル、小胞型トランスポーターいずれの経路も存在することが示され、また以前の研究で神経傷害後に傷害を受けていないニューロンでもP2X3レセプターの発現が増加したことから、細胞間の情報伝達にATPが関与している可能性が高い。そこで今後は神経を傷害したときのギャップ結合、ヘミチャネル、小胞型ヌクレオチドトランスポーターの発現変化や、ATP inhibitorによって阻害した場合の神経ペプチドの発現を検討する。
|