本研究では、ラットの顎関節円板由来の線維芽細胞培養系を用い、関節円板に負荷される生体力学的な力を想定した伸長力と圧縮力を負荷することにより、コラーゲンおよびプロテオグリカンの発現にどのような影響を与え、顎関節円板に対してどのような変化をもたらすのかを解明する。また、弾性系線維とバーシカンの密接な関係性にも注目し、その相互作用による機能の解明を行うことを目的としている 平成21度は、予備実験としてヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF)および肉由来線維芽細胞(HGF)を用いて伸長力負荷下(シリコンチャンバー上)での細胞進展装置(STB-140、ストレックス社)を使用して線維芽細胞の培養を行い、培養条件および伸展力の条件の確立を行った。また、弾性系線維であるFibrillin-1とversican α-domeinおよびβ-domainに対する抗体を用いて免疫染色(二重染色)とmRNA発現の定量を行うためのprimerの設計と確認を行った。 今後の実験計画としては、試料作成のためラット顎関節円板を採取し、プラスチックシャーレ上で組織小片を培養し、ラット顎関節円板由来線維芽細胞を単離する。単離した培養細胞に伸展力と圧縮力を負荷し、Fibrillin-1とversicanの発現変化にいてFibrillin-1とversican α-domeinおよびβ-domainの免疫染色(二重染色)およびmRNA発現の定量分析によって検討する。これによってラット顎関節円板由来線維芽細胞の伸展力と圧縮力に対する弾性系線維とversicanの発現変化を検討することにより、顎関節の運動による機能的負荷が顎関節円板にあたえる影響を解明する。
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