本研究では、ラットの顎関節円板由来の線維芽細胞培養系を用い、関節円板に負荷される生体力学的な力を想定した伸長力と圧縮力を負荷することにより、コラーゲンおよびプロテオグリカンの発現にどのような影響を与え、顎関節円板に対してどのような変化をもたらすのかを解明する。また、弾性系線維とバーシカンの密接な関係性にも注目し、その相互作用による機能の解明を行うことを目的としている。 22年度までの研究計画により、ラット顎関節円板由来の線維芽細胞系を用い、伸長力と圧縮力を負荷したときの弾性系線維とバーシカンの発現変化と相互作用の解析を行うことを目的とし行った。 ラット顎関節円板由来の線維芽細胞系を用い、細胞進展装置(STB-140、ストレックス社)を使用して伸展刺激を負荷した。弾性系線維(Fibrillin-1)とバーシカンの抗体で二重染色を行った結果、伸展刺激を負荷したときFibrillin-1とバーシカンの発現についての変化が認められた。 23年度の研究計画では、ラット顎関節円板由来の線維芽細胞系を用い、siRNAによる弾性系線維(Fibrillin-1、Fibrillin-2、Fibulin-5)の発現抑制実験を行い、弾性系線維発現抑制時のバーシカンの発現変化をmRNA発場によって検討することとし、(1)ラット顎関節円板由来線維芽細胞の培養、(2)伸長力負荷下での線維芽細胞の培養、(3)圧縮力負荷下での線維芽細胞の培養、(4)バーシカンmRNA発現の定量を行うことであった。しかし、siRNAにおける効果的な発現抑制が得られず、今後は新たなsiRNAを設計し再度発現抑制実験を行う予定である。
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