昨年から引き続き、コーンビームCT(CBCT)データとの統合および口腔内を直接計測可能な光学スキャナーの本研究への導入を試みた。CBCTには最新機種のコダック9400シリーズを用いたことにより、少ない被ばく線量でより高精度の三次元仮想モデルの構築が可能となった。また、印象採得から得られた石膏模型スキャンのステップを削除し、よりシンプルに高精度の歯列と顎骨との統合が可能となった。 顎運動の四次元解析では、衝突モデルの採用により、さらに詳細な解析が可能となり、顎変形症患者の機能審査への応用を開始した。既存の筋電図や単一歯の運動の軌跡の解析と比較して、外科的矯正治療前後の機能的な改善の評価がより詳細に行えるようになり、今後のデータ蓄積により、システムの有効性を検証し、より信頼性の高いシステムを構築できると考えられる。 患者とのコミュニケーションをはかり、機能的な要素に関する術前の説明をより良いものにするべくアニメーションによる視覚的な説明の有効性に関しての評価を開始した。症例数が未だ十分ではないものの、その有効性が明らかとなり、今後の展開を期待できる結果が得られてきている。
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