近年増加している低出生低体重児の育児支援において、スムーズな離乳の進行は大きな課題の一つである。本研究は、離乳前後の低出生体重児における摂食機能獲得と大脳皮質活動との関連について、光トポグラフィーを用いた脳活動測定および反応行動の分析を行い、発達変化の分析解明を行い、離乳に関する新たな指標または離乳完了に関するメルクマールを得ることを目的として、解析システムの構築および実際の測定を実施した。 本年度は、ベースラインとなる出生体重2500g以上の満期産児の2名および在胎週数34~36wの早産児7名の脳活動測定および行動分析を実施した。脳活動は、側頭エリアと前頭-後頭エリアに分けて測定を行い、早産児でも修正4ヵ月の時点で、満期産児と同様の脳活動が観察されることが明らかとなった。行動分析については、注視時間、口腔周囲の運動や上肢運動、発声時間について検討を行った。早産児においても、修正4ヵ月齢において、母親の食事風景のVTR呈示時に、口腔周囲の運動が有意に増加する児が見られたが、反応行動が児によって様々であり、パターン分類を行うには、さらなる測定を継続し例数を増やす必要があると考えられた。 離乳の経過に関するアンケート調査は、満期産の2歳児について、離乳の進行について母親にアンケートを実施したところ、児の発達経過よりも母親の復職など社会的な要因によりいわゆる卒乳を迎えたり、食形態のステップアップを行っているケースが多いことが明らかとなった。早産児については、離乳のステップごとに調査を実施しているが、途中体調不良等で、離乳食がなかなか進まないことが母親にとって不安材料であることが伺えた。さらなる追跡、追加調査を行っていく予定である。
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