矯正歯科治療を成功させるために最も配慮しなくてはならないことに固定源の確保があげられる。そこで、患者の負担が少なく、確実かつ効率的な新しい矯正歯科治療法の確立を目的として、選択的破骨細胞阻害剤であるリベロマイシンAやビスホスホネートを用い、局所における破骨細胞の形成、活性化をコントロールし、歯の移動を制御する実験を行うこととした。 平成22年度の研究業績として、破骨細胞の活性を抑制した際の、局所における骨芽細胞への影響について検討を行った。その結果、ビスホスホネートによる破骨細胞の活性を押さえた場合、高値であった血中におけるアルカリフォスファターゼを低下させ、免疫染色によるRUNX-2の発現時期を正常化させたことより、骨芽細胞の活性を正常化させる働きが認められ、破骨細胞と骨芽細胞の間には、何らかの負のシグナル因子が存在することが示唆された。しかし、ビスホスホネート自体が骨芽細胞に直接作用する可能性が否定できないことから、破骨細胞選択的に抑制する薬剤を用いる必要が考えられた。そこで、今後は、破骨細胞特異的抑制材として注目しているリベロマイシンAを用い、同実験を行い、破骨細胞と骨芽細胞のインターラクションを解明してゆく予定である。
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