【目的】歯周炎は単に細菌の病原性によって引き起こされるという訳ではなく、病原因子に対する免疫応答により歯周組織の破壊が起こることが明らかにされてきた。加えてこれまでの研究により、歯周炎罹患患者末梢血中には自己Hsp60に対する抗体が上昇してることから、自己免疫的側面も関与していると考えられる。制御性T細胞は自己反応性T細胞を抑制的に制御することが報告されており、制御性T細胞とエフェクターT細胞のバランスが歯周炎の病態形成に関与していると考えられる。そこで今回歯周炎の病態形成に於ける制御性T細胞の働きについて検索を行うこととした。 【方法と結果】健常者の末梢血よりCD4^+CD25^+T細胞を免疫磁気ビーズにて分離後、限界希釈法にてT細胞クローンの樹立を行った。樹立されたT細胞クローンのうちFOXP3発現の高いクローンについてCD4^+CD25^<low>細胞と共培養を行い、Dynabeads HumanT-Activator CD3/CD28にて刺激し、増殖活性について検索を行った。いずれのクローンも抑制能は示さず高い増殖活性を示した。また、セルソータにてCD4^+CD25^<high>CD127^<low>T細胞を分離後に同様の条件下にて増殖活性を測定した。分離直後のCD4^+CD25^<high>CD127^<low>T細胞はCD4^+CD25^<low>CD127^<high>に比べて増殖を抑制した。分離したCD4^+CD25^<high>CD127^<low>T細胞をDynabeads HumanT-Activator CD3/CD28にて一度刺激後、同条件で増殖活性を測定したところ、増殖抑制能は刺激する前のものに比べて減弱傾向が認められた。このことから抗CD3抗体と抗CD28抗体による刺激はCD4^+CD25^<high>CD127^<low>T細胞の増殖抑制能を減弱させる可能性があることが示された。
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