研究概要 |
エナメルタンパク質のひとつであるエナメルシースプロテインは,主にエナメル質の小柱鞘の形成に係るタンパク質である。今までに,ブタエナメルシースプロテインがヒト歯根膜細胞(HPDL)細胞に対して細胞分化誘導能を持つということが報告されている。そこで本研究では、歯周組織再生療法への応用を目指してエナメルシースプロテインの合成ペプチドを数種類作製し,これらのHPDL細胞に対する細胞分化誘導能活性を調べた。 前年度、ヒトエナメルシースプロテインのC末端側アミノ酸配列から数種類のペプチドを合成し,これらの細胞分化誘導能をHPDL細胞が有するアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の測定、リアルタイムPCRによる骨マーカー発現量の測定、石灰化誘導実験などを行って確認した。その結果、ペプチドの中でSDKPPKPELPGVDF (H-2)の配列が最も強いHPDL細胞の硬組織誘導形成能を有していることが判明した。これらの結果から論文の執筆を行い、J Periodontal Resへ投稿し、受理された。2010年9月に掲載されている。 現在、ヌードマウス皮下ヘアパタイトを担体とし、ヒト歯根膜細胞およびペプチド:SDKPPKPELPGVDF (H-2)を移植し、経過を追っている。動物実験は継続中である。
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