今年度の研究実施内容は、各備品を購入し、データ採取のシステムを構築し、学会などに参加し参考となる類似研究やセミナーを聴講したり研究者と意見交換をしたりした。また実際に当大学歯学部付附属病院入院患者や医学部附属病院入院患者を対象とし、データを採取した。 現時点で被験者は20名である。対象のBMI、アルブミン値、喫煙歴を調べた。次いで通常の嚥下機能評価検査(嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査)を行い、さらにスパイロメーターで呼吸機能評価とピークフローメーターを用いて咳の強さの測定を行った。また、内視鏡実施時に反回神経麻痺の有無、鼻咽頭閉鎖の可否を見た。また嚥下機能評価検査時に誤嚥の有無、誤嚥が見られた場合には咳の有無、咳が出るまでの時間、誤嚥したものの喀出の可否を評価した。対象を誤嚥なし群、誤嚥あり喀出可群、誤嚥あり喀出不可群にわけて比較検討した所、喀出不可群と喀出可群ではICにおいて有意差がみられた。また、誤嚥なし群と喀出不可群ではVC、TV、FVC、FEV1.0、PImax、PIpeak、%FVCにおいて有意差が見られた(Bonferroni法)。 上記を7月にあるIADRにおいて研究報告する予定である。 今後はさらに被験者数を増やして検討する。そして頭頸部腫瘍患者や脳血管疾患患者など疾患別に検討し、それぞれの喀出力に影響を及ぼす因子の同定を行う。また、その因子の喀出可否のカットオフ値を設定することができれば呼吸機能訓練の際の数値目標となりうるため、非常に意義があると考えている。
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