本研究は、摂食・嚥下障害患者が誤嚥した場合の誤嚥物の喀出の可否を評価し、喀出力に影響を及ぼす因子を同定することを目的として行った。研究の結果、液体誤嚥時に喀出の可否に最も影響を与えた因子は声門下侵入深度であった。液体は誤嚥されると時間経過とともに気管下部へ深く侵入し、侵入深度が深ければ呼吸機能によらず喀出不可能であった。一方とろみ誤嚥時に喀出の可否に最も影響を与えた因子は吸気筋力であった。液体と異なり、とろみは咳嗽による呼気の圧力を受けるため、咳嗽力に関係する吸気筋力に影響を受けたものと考えられた。
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