本年度は、研究目的1「咽頭への食物侵入が呼吸リズムに及ぼす影響」に関連した学会発表、論文作成を中心に行った。平成21年度に採取したデータを学会発表、論文として報告できるように解析を進め、学会発表を行い、また関連した論文を公表した。 学会発表は、2つの国際学会で行い、国内だけでなく、国外でも本研究の重要性について発表し、海外の有識者と意見交換することができた。論文発表では、現在進行している研究の基礎となる研究を公表することができた。これらの報告により、現在の研究の妥当性を示すことができた。 固形物と液体を同時に摂食すると、嚥下開始までに液体成分が下咽頭へと高率に流れ込むことが明らかになっている。固形物と液体を同時に摂取する時に、嚥下前に呼吸のリズムが変化するか検討した。その結果、どのような食形態を食しても、嚥下はほとんど呼気中に起こっていた。これは、今までの報告とほぼ一致している。一方、食物の咽頭への流れ込みと呼吸のリズムの間に関連性を認めなかった。つまり、嚥下と呼吸の間には、緊密な協調関係がある一方で、咽頭への食物の送り込みと呼吸の間には、協調関係がほとんど無いということが示唆された。 次年度は、これらの結果を論文として報告し、摂食・嚥下障害者における咀嚼、嚥下、呼吸の協調メカニズムの異常に関する研究につなげていきたい。
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