キノコ類の水溶性抽出液中に、齲蝕の原因菌であるミュータンスレンサ球菌のスクロース依存的なバイオフィルム形成を阻害する効果について、国際歯科研究学会(IADR)に報告、及びApplied Microbiology and Biotechnologyに報告を行った。 上記の活性は、食用シイタケをはじめ、複数のきのこに存在することを確認し、本研究では、生産量が最も多く、日本のみならず世界において食されているシイタケを主な材料として解析を進めている。まず、シイタケからの抽出法について検討を行ったところ0.4から1M程度の食塩を含む水溶性緩衝液を用いたときに、効率的に抽出が可能であそことが明らかとなった。機能性因子として、低分子化合物、ポリフェノールオキシダーゼ(ラッカーゼ)等の可能性が考えられたが、未知のタンパク質成分が主たる機能性因子であることが明らかとなってきた。 シイタケ子実体からの抽出について、子実体の部位、採集時期等の検討を行ったところ、カサの部分にのみ活性が存在し、子実体自己溶解時にバイオフィルム形成阻害活性、あるいはバイオフィルム分解活性が強まる傾向があることを明らかとした。これらの機能性因子本体については精製作業の段階にあり、未だ同定には至っていない。多糖系の担体を使用したカラム全般において、分画が困難であることが判明し、多糖類と何らかの相互作用を持つ成分が機能性因子である可能性が示唆されている。
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