《研究の概要と目的》本研究の目的は、1.看護師の患者指導スキルの実態を、教育を専門とする現職の教員の指導スキルとの比較において明らかにすること、2.看護師の患者指導スキルを、教育学分野における教授スキル分析の視点を取り入れ定量的に分析し、指導スキルの新規の定量的評価ツール開発への基礎資料を得ることである。本年度の計画は、現職教員による模擬患者指導の実施および指導スキルの解析および、看護師の指導スキルの特徴に関する分析、成果報告であった。 《結果》現職教員の指導スキルについては、計画を変更し小学校教員の実際の授業場面を撮影・分析した。教員の授業場面における発言内容では、「説明」の平均出現率が最も多く、20.2%であった。説得効果を高めるとされる「身近な話題」(0.5%)は看護師(14.8%)に比して有意に少なかった(p<0.05)。対象者の思考を促し、自発性を高めるとされる「発問」は、平均出現率での差は見られなかったが、平均出現回数では教員の方が有意に多かった(p<0.05)。対象者の発言では、非指名応答、自発発言、感嘆・つぶやきの3項目において、教員が看護師に比べ出現率・回数ともに有意に多かった(p<0.05)。以上の結果より、対象者のより主体的参加を促し、行動変容へとつなげるための工夫として、発問を多く取り入れることが考えられ、指導スキル向上のための示唆が得られた。 《成果報告》本研究の結果の一部は、第31回日本看護科学学会で発表した。
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