本研究の目的である、日本における患者一看護師間の対人援助関係の構築.・促進・維持に関する看護技術の特徴を明らかにするために、本年度は日本の看護師国家試験を合格し、日本の病院で働いているインドネシア人看護師ならびに、当該施設においてインドネシア人看護師の指導に携わった指導者(日本人看護師)にインタビュー調査を行った。インドネシア人看護師からは、日本人の患者との関わり方だけでなく、日本人医療者との関係性の構築・促進・維持における難しさが語られた。また、高齢化による認知機能の低下した患者とのかかわり、高度医療を国民皆保険のもとで行う長期慢性疾患患者とのかかわりなど、日本の医療政策や人口動態などと関連した対人援助関係構築の特徴が抽出された。 平成22年度に行った、海外で働く日本人看護師を対象としたインタビュー調査の結果をThe 2nd World Academy of Nursing Science(第2回世界看護学会)(メキシコ)において発表した。インタビューを質的帰納的に分析した結果、日本人看護師が特異的に、あるいは、多く、行っている対人援助関係の構築・促進・維持に関する看護技術の5つのカテゴリーとそれぞれのカテゴリーに2~5のサブカテゴリーが導き出された。 対象者の3群((1)海外で働く日本人看護師、(2)EPAで来日して日本の看護師国家試験を合格し日本で働いているインドネシア人看護師、(3)インドネシア人看護師の指導に携わった指導者(日本人看護師))のうち、インドネシア人看護師については、慣れない環境での就労環境ということもあり、今年度は1名の対象者のみにとどまった。今度、3群の対象者間での結果を比較・検討するためには、対象者数を増やし、さらに探求していく必要がある。
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