本研究は、看護師の感情労働に関与している感情規則の構成要素を明らかにし、さらに感情規則と精神的負担感との関係性を明確化することを目的としている。看護師の感情規則に対する精神的負担感の有無や程度、内容を明らかにするこどによって、看護師が抱える精神的負担感を軽減する施策を見出す一助となり、看護の質の向上に繋がると考える。 平成23年度は、まず平成22年度に引き続き、総合病院で働く看護師を対象に感情規則に関する半構成的インタビューによるデータ収集を行った。インタビューの内容は、看護師が考える感情規則の内容、感情規則を作り出した時期や基準、根拠、感情をコントロールする場面、理想とする看護師像などである。対象人数は計18名であり、看護師経験年数は1~5年7名、6~10年4名、11~15年3名、15年以上4名であった。インタビューの内容から逐語録を作成し、感情規則と関わる内容の部分を抜き出し、データ分析ソフトを使用したデータマイニングによる分析を行った。その結果、「患者に対する姿勢」や「医療者間でのコミュニケーション」など、いくつかの看護師の感情規則の構成要素、となる項目が抽出された。現在、抽出された構成要素を基に、看護師がどの項目の感情規則をどの程度持っているかを測定する質問紙を作成するため内容の検討を行っている。 今後、看護師の感情規則の程度を測定する質問紙を作成し、看護師が持つ感情規則と精神的負担感との関係性を調査していく予定である。
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