機材の調整終了後、心理的負荷として採用した内田クレペリンテストについて負荷の程度が十分であるかの確認実験を行った。 【目的】ブランケットの緊張緩和効果に関する研究を開始するにあたり、模擬的精神負荷(内田クレペリンテスト)による影響が観察できる指標として、唾液アミラーゼ活性に着目し、その精度を明らかにすることを目的とした。【研究方法】対象:健康な女性8名(平均年齢19.5±0.3歳)期間:2010年2月17日~19日実施時間:14時~16時30分環境:室温21±0.5℃、室温40±3%、照度480ルクス、気流0.1m/sec方法:同一被験者に対して、Co.〔安静30分〕、A:〔計算負荷15分〕、B:〔計算負荷30分〕の3介入を異なる日に実施した。実施順序は無作為に決定した。それぞれに前・介入終了直後・終了後10分・終了後20分・終了後30分に唾液を採取した。採取にはサリベット(Sarstedt AG & Co.、アシスト)を用い、唾液採取直後に凍結保存した。解凍後直ちに遠心分離し分析には唾液アミラーゼモニター(CM-2.1、ニプロ)を使用した。分析よって得られた唾液アミラーゼ濃度および分泌量の解析にはSPSS Statistics17.0を用いた。【倫理的配慮】本研究は、所属機関に常設された倫理委員会にて承認を受けて行った。【結果】安静30分・計算負荷15分・計算負荷30分の群間で、いずれの時期にも有意な差は認められなかった。また、唾液アミラーゼ活性は個人差が大きく、負荷に対してほとんど反応しない対象者が存在した。【考察】唾液アミラーゼ活性では、安静30分、模擬的精神負荷15分あるいは30分において変化がなかったことから、ブランケットの緊張緩和効果といった軽微な刺激の影響を立証しようとする研究では指標として適切と言えないことが明らかになった。さらに、計算の得手不得手にかかわらず、負荷による反応がほとんどない対象者が存在したことから、仮に指標として用いる場合には個人差に留意する必要性が示唆された。 日本看護研究学会第36回学術集会〔2010年8月21・22日於:岡山県〕にて発表予定(査読審査あり採用)
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