本研究は、臨床看護師の看護実践能力を向上させるために、臨床看護師の看護実践を量的・質的に分析し、看護実践能力の異なる新人から達人までの各段階における"Reflection"の実態と熟達化の関係性について検討することを目的としている。平成21年度は、"Reflection"の実態調査を行うために、無記名自記式の質問調査票を作成し、平成21年8月17日~平成21年9月11日の期間に調査を実施した。質問調査票の項目は、"Reflection"の実態を明らかにするために必要な内容を吟味した結果、西村(1995)の「自己教育力測定尺度」の項目が該当すると判断し、調査項目として採用した。 また、質問調査票の構成は、西村(1995)の「自己教育力測定尺度」40項目と、自作属性調査8項目(免許取得・臨床実践の経験年数・配属部署での経験年数・配置転換の回数・年齢・性別・自発的な学習機会への参加状況・最終学歴)を追加した全48項目とした。研究対象者は、福岡県内の総合病院(300床以上)に勤務する臨床看護師650名(管理者・専門看護師・認定看護師を除く)とし、365名より回答が得られた(回収率56.1%)。データの収集手順は、研究同意の得られた対象病院の看護部長へ、研究協力依頼書・研究説明書・質問調査票・返信用封筒を持参し、その後、各病棟師長から臨床看護師へ配布してもらえるよう依頼した。質問調査票の回収は、返信用封筒にて臨床看護師が研究者へ直接返信するとした。また、研究者へ直接返信することにより対象者からの研究同意を得たことにする旨を研究説明書へ予め明記した。調査の結果、自己教育力を構成する因子として、「成長・発展への志向」「自己の対象化と統制」「学習の技能と基盤」「自信・プライド・安定性」の4つが抽出され、特に臨床看護師では「成長・発展への志向」が高い値を示した。詳細については現在、分析中である。
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