研究概要 |
【経過】研究を開始するに当たり、大学所属の倫理審査委員会の承認を得た.その後、対象者である医療従事者(医師・看護師・臨床工学技士)それぞれの職種の責任者に研究協力依頼し、直接の対象者に説明と同意を得た。また、調査方法で正確性安全性を保つため協力者として微生物検査部門との調整を行い平成21年10月より研究開始した.研究開始から翌年7月までに以下のことを明らかにした. 【目的】:慢性透析患者のHDの為一時的に留置されたCVC血流感染の実態と挿入時マキシマルバリアプリコーション(MBP)の現状を明らかにする. 【対象と方法】:A大学病院において平成21年10月~翌年7月に,一般病棟に入院し同意を得た患者24症例と医師を対象とした.調査は,(1)基本情報・細菌検査結果等を診療録から収集,(2)静脈血,CVC先端培養陽性と発熱から感染兆候を基に,NHSN(2007)の定義を用いて感染率を算出,(3)CVC挿入時のMBP遵守状況である. 【結果】:患者の平均年齢は65±10歳,平均CVC留置は12±8日であった.24症例のうち培養陽性は静脈血2症例2検体でMSSA/CNS,CVC先端6症例6検体からCNS等が検出された培養陽性かつ発熱を伴った症例は3例で,平均CVC留置は5±1日,糖尿病の既往と新規HD導入例であった.3症例中1例をCVC関連血流感染と判断し,1000device-daysに対して感染率3.1であった.この時のMBP遵守状況は確認できなかった. 【考察】:感染例の留置期間は6日と短期なことから,CVC挿入時の消毒やMBPの不徹底が推測され,一般のCVC同様挿入時の状況確認が必要である. 今後は、継続して対象者の推移を調査するとともにCVC関連の感染症例の伝播経路の推察、医療従事者の感染予防行動とCVC関連感染症との関連を調査していく.
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