研究概要 |
【経過】H21.10~研究を開始し、H23.3までの研究対象者(患者)は55名、医療従事者(医師・看護師・臨床工学技士)はのべ90名に調査した。そして、透析用中心静脈カテーテル関連血流感染を(CVC-BSI)発症した患者から採取した試料(カテーテル先端部・カテーテル師入部皮膚、Hab)と血液培養から検出された細菌をマッチングさせ、伝播経路の推察を分子疫学的に行った。(H22.7分まで) 【方法】H21.10~H22.7に,A大学病院に於いて同意を得た24症例中,発熱(38℃以上)で感染疑い3症例を対象とした.調査は,基本情報(静脈血,CVC先端等検査結果を含む)の収集とCVC刺入部皮膚とHabから試料を採取後,羊血液寒天培地(日水)に接種,35℃48時間好気培養,VITEC2で同定を行った. 【結果】3症例の平均留置は5.0±1.0日,このうち1症例は3回連続でCVC挿入されていた.この症例の培養陽性はCVC先端からMSSA,刺入部皮膚とHabは各々MSSA/CNS,MSSA/CNS/E.faecalis等が検出された.静脈血の細菌検出はなかった. 【考察】先端部,刺入部皮膚,HabからMSSAが検出しており,患者の皮膚常在菌がCVC挿入時の不十分な消毒により侵入したのではないかと推測した. 【今後の計画】以上の結果が得られており、今後は分子疫学的な伝播経路の推察と患者要因の分析、医療従事者の感染予防行動の分析を進めていく。更に、透析用CVC-BSIは、カテーテル留置期間平均5日と短期間であることから医療従事者特にカテーテル挿入時(医師)の感染予防行動は重要であるこが判明した。ここに焦点を絞り今後は、対象施設を拡大し調査を進めていくことを計画している。
|