研究概要 |
目的1:透析患者でのCVC関連血流感染を実態明らかにする。 対象と方法:A大学病院において2009年10月~2011年9月、同意が得られた患者と医師を対象とした。調査方法は、診療録から基本情報(年齢・CVC挿入理由・発熱の有無等)と細菌検査結果を収集した。感染事例は、看護や治療経過を後向調査した。CVC挿入時の状況をNHSN版手技シートを用いてCVC挿入者又は観察者が調査した。結果:対象患者は56名、CVC総数は74本であった。患者の平均年齢は70.2±11歳、平均CVC留置期間は11.7±7.9日であった。74例のうち発熱(38.0℃)は24例、血液培養提出は15例であった。このうち培養陽性は8検体でS. epidermidis(4)、MSSA(2)、E. colo(1)とE. faecalis(1)が検出された。定義に基づき、CVC関連血流感染と判断された症例はMSSAが検出された2例、感染率2.38(per 1,000 catheter day)であった。手技シート回収率は68%、MBP遵守率は74%であった。 感染2例のCVC挿入部位は内頸部、平均CVC留置期間は3.0日、MBPは全て挿入者が記入し実施されていた。考察:感染率は2.38とCDC(2011)1.05より高値であったが、症例数が少ない事が影響したと考えられる。感染例は平均CVC留置期間が短期である事から、今後は更に挿入時の詳細な状況を調査し、患者要因を合わせて検討していく。 目的2:医療従事者の感染予防策の実態を明らかにする。 方法:A病院で2009.10~2011.11迄に、研究同意を得たのべ入院透析患者84名の透析用カテーテルを管理した医師、臨床工学技士、看護師を対象に、透析用カテーテル管理時の手指衛生と個人保護具等の着脱あるいは予防策の遵守を調査した。結果:医師の予防策を調査したところ、65場面で手指衛生率87.7%/マキシマルバリアプリコーション(MBP)86.2%、技士71場面/手指衛生率25%/手袋装着率100%、看護師56場面/手指衛生率94.6%/手袋装着率96.4%であった。考察:職種により手指衛生遵守率に差異がある事が明確となった。
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