股関節手術の際に安全領域として用いられるJacobsらの領域について調査した。Jacobsらの領域には中殿筋深層で上殿神経・動静脈が密集しており、中殿筋深層に到達するまでの厚みが薄いため、筋肉内注射部位としては適切ではないと考えられた。一方、「クラークの点」は、中殿筋深層の上殿神経・動静脈の近接例が少なく、中殿筋深層に到達するまでの厚みが十分にあるため、安全である。上後腸骨棘がわかりにくい場合には、左右の上前腸骨棘を結ぶ線上で、上前腸骨棘から7.0~8.0cmの部位とすれば簡便に注射部位を特定できると考えられる。
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